「石物」と呼ばれる磁器に対して、陶器は「土物(つちもの)」と称され、すべて吸水性が有り、しかも、うわ薬に細かい貫入が入って居ります。焼物の侘び寂びの美しさを保つためには、この繊細な肌色の味わいが特に大切であります。俗に「萩焼の七変化」とよく云われますが、新しい物を使い込む事に依って、うつわ自体に時代が着いて来ます。そして、うわ薬の濃淡・色調が一段と発色の良い物となり、次第に変化が見られます。桃山時代から四百年の時を経て来た焼物は、独特の風格を漂わせています。
美しい焼物の味わいを作り出すには、手入れが必要です。中には水分の吸水性が高く、始めはお茶がしみ出る事があります。が、使用することに依って、茶しぶがしみ込み、次第に止まってきます。始めからシリコン液で、止める方法もありますが、それでは美しい味わいを出す事ができません。もし少しでも早く止めたい時は、鍋の中へお茶の葉を一にぎり焼物と一緒に入れて煮詰め、半日〜一日そのままにしておいてください。大切な事は「使い込んで自分の器にする」という姿勢だと思います。
御使用後、洗剤や煮物の汁等と一緒に洗い桶につけたままの状態で放置すると、匂いがしみ込み、悪臭の元となりますので、直ちに洗ってよくふき取り、乾燥した場所へ納めて下さい。
手入れ次第で焼物は、美しさを増して来ます。貴方様の生活に潤いをもたらす焼物に、一層の愛着を深めて下さいます様、お願い申し上げます。